多言語を同時に進める場合
最近、海外向けのビジネス展開を考えておられる企業のお客様を中心に、多言語への同時翻訳のご依頼が増えています。
最近ご依頼をいただいた中には、日本のソフトウェア開発会社様から、ソフトウェア製品の輸出に伴う英語とヨーロッパの主要言語(フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語)への翻訳のお話や、工業製品のメーカー様から、会社ホームページの英語および中国語化のお話をいただきました。
それ以外にも、特に中国語への翻訳は増えています。また、アジア各国の経済発展に伴いインドネシア語、タイ語、ベトナム語、マレー語、ヒンディー語など、アジア言語への翻訳のニーズも高まっています。
日本語から多言語に翻訳する場合の注意点
ここでは、日本語から多言語への翻訳を計画するにあたっての注意点をご紹介しておきたいと思います。
日本語から多言語への翻訳を考える場合、日本語から直接各言語に翻訳するということをまず考えると思いますが、その場合、言語によっては対応が難しくなるケースがあります。
主だった言語であれば別ですが、希少言語の場合に、日本語からその言語への翻訳ができるプロの翻訳者を見つけることが難しい場合(あるいは選択肢が非常に少ない場合)があり、その場合は当然のことながら価格がかなり高くなります。
また、ヨーロッパ言語の場合は、英語からの翻訳は現地の翻訳者に依頼すればかなり安く仕上げることができます。英語からヨーロッパ言語への翻訳は、日本語からヨーロッパ言語の場合と比較してはるかに市場の規模が大きく価格競争が激しいため、翻訳料の水準も低く抑えられているのだと思います。
また、昨今の円高(ユーロ安)の影響も大きいです。日本からヨーロッパへの発注の場合、相対的にかなり安く翻訳を依頼することができます。
そう考えると、英語とヨーロッパ言語への翻訳を考える場合は、まずいったん英語にして、その後英語からヨーロッパ言語に翻訳するという2段階のスケジュールを組むのがよいと思います。
日本語から直接多言語に翻訳したほうがよいケース
これは、もちろん内容にもよります。日本の文化に関することなど、英語にしたときにニュアンスがうまく伝わらないような題材の場合は、そのような状態の英語から多言語に翻訳しても、ますます訳がわからなくなってしまうということがあります。
ですから、そのような場合は、日本語から直接多言語に翻訳したほうが、原文の意味合いをより忠実に翻訳することができますので、日本語からの翻訳をお勧めすることがあります。
また、「ハブ言語」としての英語の重要性が非常に高くなるため、英語への翻訳の品質が悪いと、各言語への翻訳の質もそれに伴って悪くなってしまいます。最初に行う日本語から英語の翻訳を、十分に実力のある信頼できる翻訳者に依頼できるかということが、非常に重要なポイントとなります。
さらに、もう一つはスケジュールの問題もあります。日本語から英語を介して多言語に翻訳する場合、2段階の工程になってしまうため、日本語から英語を含む多言語に一斉に翻訳するのと比べて、余計に時間がかかってしまいます。
一方で、中国語や韓国語などは、日本語からの翻訳である程度安くできますので、日本語からの翻訳のほうがよいケースが多いです。ただし、コンピュータのマニュアルなどの場合は、(英語からの翻訳は)中国国内の会社でかなり安く対応できるノウハウが確立しているため、英語からのほうがよい場合もあります。
上記のような要因があるため、多言語への翻訳は、段取りが重要になります。見積のご依頼の際に、お客様の場合にどのような進め方がよいかアドバイスさせていただくこともできますので、どうぞご相談ください。
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