通訳(2): 通訳者になるには
では、通訳者になるためにはどんな勉強をしてどんな資格を身につければよいのでしょうか?
まず通訳者とは、ここでは「会議通訳者」、つまり会議における同時および逐次通訳のことを指しており、通訳案内業(観光ガイド)のことではありません。通訳案内業については該当の記事をお読みください。
会議通訳者になるには、高い英語力が求められるのは言うまでもありません。同時に高い日本語表現力が求められます。単に英語力がネイティブに匹敵する実力であっても、理解した英語を日本語として瞬時に紡ぎだす能力が必要不可欠です。
高い英語力といってもどのくらいのレベルが必要でしょうか?
英検でしたら1級、TOEICですと900点以上のレベルは求められます。もしそのようなレベルにすでに達しているとしたら次に何をするべきでしょうか?
TOEIC 900点以上のレベルがあっても通訳はまたさらに英語を使用した専門的な世界ですので、通訳学校に通うか、通信で学ぶことをおすすめします。
通訳学校で行うこと
通訳学校では、以下のようなトレーニングを徹底して行います。
クイックレスポンス:
聞いた原文の単語を瞬時に日本語にする
シャドーウィング:
聞いた原文を一瞬遅れてそのまま繰り返す
リプロダクション:
原文を1センテンス聞き、聞いたとおりに繰り返す。徐々に2センテンス、3センテンス聞いて繰り返すことができるようにする
サイトトランスレーション:
英文を節で区切って区切った文章ごとに頭から翻訳する。文章を頭から順番に理解していく訓練になる
そのほかにメモのとり方や、発声法などを学び、模擬通訳を通して実戦訓練をします。
通訳者養成学校は、エージェントを兼ねている場合が多いので、エージェントを通して様々な企業から通訳者へ仕事のオファーがあり、始めての仕事を経験することになるという流れが多いかと思います。
また通訳者を必要とする企業に就職し「社内通訳者」となる方法もあります。「通訳者」として雇われ、会社から給料をもらうわけですので、これも立派なプロです。
経験を積んでいけば、複数の企業と契約し、フリーランスで働くというスタイルもあります。フリーランスで成功するには、コネや人脈も必要です。フリーランス通訳者ですと、仕事の単価は高くなりますが仕事の時期にばらつきがあり、不安定で大変な面もあります。
通訳の資格
かつては、日本通訳協会という団体があり、通訳技能検定試験(通検)やボランティア通訳検定試験(V通検)などを実施していました。ところが、2008年11月に突然協会が閉鎖することになってしまい、通検に向けて勉強してきた通訳者の卵たちを見捨てる形になってしまい、衝撃は大きなものでした。
そのほかの資格としては、通訳技能向上センター(CAIS)が主催する「ビジネス通訳検定(TOBIS)」があります。翻訳・通訳の世界で、国家資格なのは「通訳案内士国家試験」のみで、通訳案内士国家試験は各言語の観光ガイドになるための試験ですので、会議通訳とは内容を異にします。
プロの通訳者になるには、通訳者養成学校で学び、エージェントに所属する、というのが最も近道のようです。
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